Red_dotMANのブログ

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『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017)ネタバレあり

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①あらすじ

 スパイ機関である”キングスマン”が謎の麻薬組織”ゴールデン・サークル”により壊滅的な損傷を受ける。残された主人公エグジーと教官のマーリンはアメリカの”ステイツマン”と協力し、謎の組織の陰謀を阻止する。

 

②概要

 前作に続き、監督はマシュー・ヴォーンが担当。主なキャスト変更もなく製作されたが、発表当初は監督自身続編にはあまり乗り気ではなかったらしいが、続編が実際に完成された今、スピンオフを企画するなどユニバース化が期待されるシリーズ作となる可能性を示唆する。

 

③『キングスマン』の斬新さ

 『キングスマン』が日本で公開されたのが2015年9月ごろ。『ダークナイト』がリアル路線で描いたヒーロー映画として成功し、その頃映画は図らずしも”非現実的(映画的)なことを現実的に見せる”という主流があった。そのような流れの中公開されたのがこの『キングスマン』。『キングスマン』はそのようなリアルを排し、きわめて非現実的、ロマン溢れるスパイ映画として公開された。最近のではなく、まるでかつての『007』に倣った映画的な語り口であったがそれと同時に、そのような非現実的なスパイ映画に対して劇中で指摘するというメタ構造もあった。

 過去のスパイ映画に対して劇中で言及しつつ、過去のことをやることに斬新さがあった。

 

④魅力的な悪役

 『キングスマン』の悪役は無差別大量虐殺を地球の将来を考えた慈善活動であると無理やり肯定し、実行に移したヴァレンタイン。そして今作『キングスマン:ゴールデン・サークル』に登場する悪役は世界の麻薬売買の頂点に立ち、一年に数千万ドルと稼いでいるにも関わらず存在を認知されていないことに不満を持っているハイテンションな女性ポピーといかにもトランプ大統領を意識した人民を見殺しにしようと企む大統領の二人と、それぞれ歪みつつもなんとなくわからなくはない不満や目的を持つサイコな悪役が特徴的である。

 勧善懲悪モノ映画の主役と悪役は見ている我々の中にいる理想と悪の部分である。つまり主人公の英雄的な部分に人は魅了し、自分と照らし合わせる一方で悪役とは自分の中にある人間的に悪い部分を象徴している。

 今作でいうと沢山のメカを使用し、世界の危機から救おうとするエグジー達に魅了されながらも、悪役であるポピーと大統領の危険な思想に一瞬でも同意してしまう自分がいる。映画内でそんな自分の中の悪の部分を淘汰することによってカタルシスを得られるのであって、それが勧善懲悪モノの役割であり宿命でもある。

 だからこそ今作に限らず『キングスマン』シリーズは魅力的なのである。

 

⑤マシュー・ヴォーンの描く主人公像

 『キングスマン:ゴールデン・サークル』は前作ととても強く結びついた続編であり、主人公エグジーの成長を描いたストーリである。彼はもともとイギリスの犯罪が頻発する地域で育ち母子家庭であった。お世辞にも生活環境が良いとは言えない状況に置かれる青年であった。そんなある日、ハリーという男から秘密組織”キングスマン”の入団テストに推薦される。そこは一流家庭の子の集まりでエグジーは身なり服装だけを見て侮辱される。しかし彼は自分自身を見失わずに己の穴を掘り続け、とうとう(一度は失格となったが)加入を許される。そして社会的底辺に位置していると見なされた男が世界を救うのである。そして放たれる名セリフ「マナーが人を作る」。生まれや育ちなど関係なく、大事なことは人としてどう振る舞うかということである。

 そして続編である今作もエグジーという男の人生の続きである。彼は最終的にスウェーデンの王女と結婚するが、これは人は振る舞い方次第で誰よりも尊い人間になれるということの象徴である。

 これは同監督が作った『キック・アス』も同じ軸である。『キック・アス』も学校ではいじめられ、母のいない青年が巨大な犯罪組織を壊滅させ、皆のヒーローになる話である。

 『キック・アス』と『キングスマン』は語り口こそ違えど、底辺の人間がヒーローになるという普遍的なテーマが語られているのである。

 

(『キック・アス』の予告編)

www.youtube.com

(『キック・アス』のヒットガール登場シーンは最高!)

www.youtube.com

⑥マーロン

 カントリーロード、最高だったぜ!!!